若松選手

その5

そろばんの魅力と未来 ~ 教室とか大会とか, 作っちゃおうか!


【ma-.】さて, インタビューが相当長くなってきたので, 若松君も疲れてきたでしょう。そろそろ最後にしましょうか。


【若松】そうしましょう!!


【ma-.】時代は少子高齢化時代。これからますます子どもの数が減ると予想されている中, 新たにそろばんに燃える子供達を生むことが難しい環境になってきています。

 そんな中にあって, どうやってそろばんの楽しさと言いますか, 魅力を伝えたら良いのか。全国の珠算教室・珠算塾の先生方は頭を悩ませていることと思います。

 若松君は, この辺りどのように考えていますか。


【若松】どうやって楽しさを伝えるかと言ったら, やっぱり熱意のある授業と, 大会の高揚感と, 検定の緊張感で伝えていけたら最高ですよね。

 そういった本質の他にもちょっとだけ, ポイントを集めて景品と変えてあげたり, ゲーム的な競技をしたり, 大会後に観光をしたりとお楽しみ的な要素も入れてあげられたらいいなと思います。


【ma-.】そろばん塾のこれからの方向性として, こんな可能性があるとか, そういった新たな発想みたいなものはありますか。


【若松】そろばん教育が素晴らしいというのは, 珠算に携わった人たち皆が感じていると思いますが, それを数値やデータで示すことができたらますます可能性は広がっていきますよね。私の知人でも, 大学でそういった研究をしている方もいます。

 また塾の可能性としては, 土曜日の授業に社会人の方が来たり, 平日の午前中に高齢者が来たりというのもいいなと思っています。

 いくつになっても, 暗算力は上達することを示したいですよね。


【ma-.】では, そろばんの大会の方向性として, こんな競技があるとか, そういった新たは発想みたいなものはありますか……って, そういや先程「自分で大会を開催したい」みたいな話がありましたね。

 若松君が, これまでにないそろばんの大会を作るとしたら, どんな種目をどんな難易度で取り入れた大会にしたいですか。対象をが異なる複数の大会を設定しても良いですよ。


【若松】漠然としていますが,

  • 複数の選手に優勝可能性があって

  • 気を抜ける種目が無くて

  • 参加者全員にそろばんの本質の魅力を伝えることができて

って感じですね。問題もそうだけど, 進行やオープニングや雰囲気もとても大切だと思います。

 後は, ペア競技っていう二人一組でやるものを考えてます。詳細はまた今度。


【ma-.】おっ, 何か考えてるんですね! 楽しみにしてます。

 では大会以外で, そもそもそろばんの魅力や良さを世に広く知らせる方法って, どんな方法があるでしょうかね。私はこんなサイトを作ったりしてるのですが……


【若松】私は, そろばんの CM を作りたいなと思っています。音楽も映像もかっこいいやつを。アディダスの「不可能なんて無い」みたいなイメージで。絶対にやりたい事の一つです。

 他に, しゃべりが立って, 魅力的な珠算人(指導者でも選手でも)がバラエティ番組なんかに少し出ていけたら一気に知ってもらえそうですよね。戦場カメラマンや川越シェフのような感じで。

優勝者インタビュー風景

もちろん, このサイトのインタビューではありません。

最後にちょっと ma-. さんにも質問させてください。珠算の魅力って何だと思いますか?


【ma-.】うわ, 最後の最後で難しい質問が飛んできましたね……(汗

 そうですね……もちろん, 計算力, 特に暗算力が付くことが最大の魅力でしょう。単純に買い物の時に, レジに行く前にだいたいの金額を合計しながら歩くなんてことはザラですよね。

 車を買う, 家を買うなんて時にも, 営業マンが一生懸命電卓を叩いている間に大体の数値を出せてしまう。営業マンが計算を始める前に自分で色々計算しておいて, もちろん口には出さず, さて営業マンはどのような数字で迫ってくるか, なんて楽しみもあったりします。実際に 7 桁, 8 桁の金額の買い物をするときの計算でも, 3~4 桁暗算でできれば十分かと思います。一の位までキッチリ出す必要はありませんからね。

 相当やり込まなければわからないレベルの話としては, 寺の修行に近いものがあると思うんです。ちょっとでも雑念が入ると不正確になります。箱物種目で, 同じ場所で何度も同じようにつっかるなんて症状も出たりします。そういったものを振り払う, そして振り払ったと感じたとき, それが自分を成長させている実感として表れるような気がしています。

 よく, そろばんで仲間がとか言う方がいますが, もちろんそれはそうなんですが, それって珠算に限らず運動系, 文化系の競技すべてに当てはまることですよね。だから敢えて挙げないことにします(笑)


【若松】ね。私も仲間とか, 友人は挙げないようにしています。それは確かに大切な魅力の一つですが, 「そろばん」の魅力では無く, 「共通の趣味」や「コミュニティ」の魅力になってしまうから。ただ, それをわかった上でも, 珠算界には魅力的な人間が多い気がしますが。ひいき目で見ちゃってるかな?


【ma-.】そんなことはないと思いますよ。どの世界でも, 「仲間」というのは自然と, 不思議と, 「自分のレベルに近い人間」が集まるものだと思います。例えば専門的な話とかしても, 同じレベルだからこそお互い共鳴するものがあったり共有感が生まれたりしますよね。だから, 若松君には若松君のレベルに見合った仲間が集まっている, ということでは?


【若松】では, どうすればその魅力をより, 社会に伝えていけると思いますか?


【ma-.】そのひとつがこのサイトなんです。本当は「自宅で独学でそろばんの学習をできる」ことを目標としているので, 「そろばんの学習」ページをもっとすばやく構築したいところなんですが, 魅力を伝えるとなるとそのページでは難しい。おのずとこういった, つまり若松君との対談とか, そういったページを優先させてしまいます……ま, 言い訳に過ぎないかもしれませんが。


【若松】そうですねぇ。ただ, 「自宅で独学でそろばんの学習をできる」ようになってしまうと, 珠算塾は複雑ですよね。そろばんの良さは多くの人に伝えたいけど, 塾にもドンドン通ってほしいもんなぁ。「本気でやりたくなったら塾へ行こう!」ってな感じですかね。


【ma-.】インタビューの冒頭でも喋ったと思いますけど, きっかけは私がそろばん塾など存在しない地域でそろばんの指導をしたことがある経験から来ているんです。こんな素人が 1 人で好き勝手作っているサイトでいくら「独学でできる」などと謳ったページを作ろうと, 実際の教室に通って学ぶ方がより良いことは明白でしょう。だから, 近くに教室があるなら, まぁ若松君が言うように「きっかけ」としてこのサイトで学ぶのは良いかと思いますけど, やはり塾に行って生身の人間(先生)の指導の下, そろばんの学習をして欲しいと思っています。まぁ塾に行くには恥ずかしいという大人の方はこのサイトだけで学んでいただいても構わないと思ってますけど。

 私は教員やってますからよくわかっているつもりですけど, やはり「問答」が重要なんです。このサイトで学習しても, それこそ予備校でよくある「サテライト」でもそうですが, 「双方向」にはなっていないですよね。子供の教育は, とにかく双方向。お互い声を掛け合って, 同じ事を教えるのでも言葉遣い一つ使い分けたりしますし, 反応も違います。それこそそろばん以外のしつけやら何やらも重要な要素です。


【若松】なるほど。「問答」かぁ。ma-.さん、いいこと言いますねぇ。たまに。


【ma-.】…………(汗)

 ところで, 若松君は現在 37 歳ですが, 何歳まで現役選手を続けるつもりでしょう。

優勝祝賀会にて

良い雰囲気で何やら語ってます。

【若松】どうしましょう? ma-. さんといっしょにまだまだ続けましょうか。


【ma-.】全日本珠算選手権大会に限って言えば, 史上最高年齢優勝も見えてきているわけですが(笑), ズバリ, 狙っていますか?


【若松】そうですね。こっそり狙っています。優勝回数を競うのは厳しいと思いますが, 最高年齢優勝ならまたチャンスはあるのではと思っています。


【ma-.】最後に, 今このサイトをご覧になっている若松ファン, そしてそろばんファンの方々に, メッセージをお願いします。


【若松】この質問に普通に答えているのを(珠算をやっていない)友人辺りに見られたら非常に恥ずかしいので, 「若松ファン」とかやめて下さい……


【ma-.】あはははは(笑)


【若松】そろばんファンの方へは, 「一緒に盛り上げていきましょう! ブラジル人がサッカーをやるように, 国民皆が楽しんでそろばんをやれたら最高ですよね!」というメッセージでお願いします。


 最後になりますが、私も今年 3 月で 13 年間務めてきた公務員を退職し, 珠算の指導者になることに決めました。ただ, すぐに開塾というわけではなく, 1 年くらいの準備(修行)期間を設けて, 札幌の白石区東札幌辺りでやれたらなと考えています。指導の経験はほぼゼロですが, これからしっかり勉強して, 「生徒の心に火をつける」先生になりたいと思っています。


【ma-.】おっ, 最後にサプライズ発言来ましたね! というか, そんなに地域限定の発言して良いのでしょうか(笑)

 とにもかくにも, 今回は非常に長い間このインタビューにお付き合いいただき本当にありがとうございました。また来年も優勝した暁には, 是非ともよろしくお願いします。


【若松】はい。インタビューは本当に長くて, 「いったいいつ終わるんだろう」と思ったこともありましたが, 自分の考えを整理することもでき, 終わってみるととても勉強になりました。こちらこそ, ありがとうございました。

大会後のサイン会(?)

ちびっ子への気配り・心配りも忘れません。

もはや, 全国の人気者です。